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05.05.2010 | 「Moneycab」 マネーキャブ
"DKSHはアジア市場で140年以上にも及ぶ確固たる実績があり、そのためすでに実績のある、非常に信頼性の高いネットワークを常に駆使することができるのです。"
"IPO(新規株式公開)に関しては皆さんを失望させざるを得ません。現時点では株式を公開するだけの十分な理由がないのです。"
(ヨルグ・W・ヴォレ, DKSH CEO兼代表取締役社長)
御社はタイに最大規模の支社を置いています。今回の反政府派による政治紛争の影響はありませんか?
確かにタイには弊社最大の現地法人があり、約10,000人の従業員がいます。しかし弊社のプレゼンスはアジア全体にわたっております。政治的な抗議活動は確かにタイ経済全般に悪影響を及ぼしており、特に一般消費財市場や観光産業にはかなりの打撃となっています。しかし弊社は市場で構築した強力なポジションと多様化された事業、すなわち幅広い産業分野への参入という優位性がありますので、今までのところタイでのビジネスでは持続的な成長を維持しています。
DKSHはアジア諸国の確固とした法制度を活用して、他の企業がこのような遠く離れた市場に参入して成功を収めるのをサポートしているようです。御社はどうしていつもアジアで影響力を発揮できるのですか?
多くのアジア諸国の法制度はわれわれがヨーロッパで慣れ親しんでいるものとは異なっています。不確定性とアンビバレンスとを回避する高度な能力が求められます。だからこそ、ヨーロッパの企業がこの場で成長するためには孤立して事業を行うのではなく、アジアに精通し、現地の状況を熟知して地元のインフラを自由に使うことができるパートナーと共同で行うべきなのです。DKSHはアジア市場で140年以上にもわたって築き上げてきた確固たる実績があり、そのためすでに実績のある、非常に信頼性の高いネットワークを常に駆使することができるのです。このようなプラットフォームの上でなら欧米企業も予測可能なリスクと最小限の固定費で、戦略的に設定した期限のうちに成長することができるでしょう。弊社は現地で得た経験と文化に関するノウハウをベースにして、お客様に新規市場に参入するための助言を提供し、共同で事業計画の策定を行います。ビジネスコンサルティング会社とは違い、弊社では事業計画そのものの策定まで請け負うことができます。弊社なら現地でマーケティングを行い、販売部門を設立してお客様がそのまま使える状態にまで持っていけますし、さらにアジア地域全体への配送を可能とする物流インフラも用意しております。ご希望なら完全なオールインワンのソリューションも提供いたします。
最近の、重要なスイス系商社ヘグマイヤー・コサ・リーベルマン(Hagemeyer-Cosa-Liebermann)の買収や、チャオタイ(Chiao Tai)とバイオライフ(Biolife)という2社の買収により、香港や台湾、マレーシア、韓国、それにミクロネシアにまで至る御社の事業基盤はさらに確固たるものになりました。またこの買収で合計700人にのぼる新規雇用者が加わったことになります。2年前にステファン・シュミッドハイニ(Stephan Schmidheiny)がDKSHグループに加わった時、私は個人的にはむしろ南米での買収を予想していたのですが....
2009年に、ある企業戦略専門のコンサルティング会社と共同で、弊社の戦略の再検討を行いました。その結果は期待通りのもので、弊社の戦略の正しさが立証されたのです。弊社がすでに地歩を確立している市場と各事業部門が潜在的に持っている成長可能性は、われわれ自身ですら未だに信じられないほどに巨大なものだということです。ここで弊社の戦略をもう一度繰り返しておきますと、「自分の専門分野に集中する」というものです。つまり弊社は今後も引き続き得意分野である既存市場(アジアとヨーロッパ)に注力し、消費財、ヘルスケア&医薬品、テクノロジー、生産資材という、4つの事業分野に特化した戦略を展開していく考えです。弊社は、この4分野での成長を維持していく決意です。というわけで、いわゆる新大陸への事業拡大は現時点では弊社のロードマップに含まれておりません。
では、いわゆる御社の事業根拠で、今回の買収によりどのような潜在能力が得られることになるのでしょうか?
ヘグマイヤー・コサ・リーベルマン(Hagemeyer-Cosa Liebermann)の買収により、350人の従業員と、韓国、台湾、香港、グァム、サイパンの事業拠点が手に入りましたが、これで弊社の高級消費財とライフスタイル関連の事業が強化され、アジアでのラグジュアリー製品とライフスタイル市場における独立系企業の中でのリーダーとしての弊社の立場がいっそう強化されることになります。2年前に買収したデスコ(Desco)と同様に、コサ・リーベルマン(Cosa Liebermann)はスイスの商社であり、1世紀以上前にアジアに事業根拠を置き、事業を展開してきました。2番目の買収先であるチャオ・タイ・ロジスティクス(Chiao Tai Logistics)は、200人の従業員と7か所の流通センターを持つ台湾では主導的な立場にある、消費財に特化した流通会社で、弊社の台湾での事業展開の強化に寄与するとともに、DKSHが将来の顧客拡大を推進する際に重要となる、香港、華南、台湾を結ぶ三角地帯における課題に取り組む上で非常に頼りになります。さらにマレーシアのビタミン剤とサプリメントの大手メーカーであるバイオライフ(Biolife)の買収により、弊社のヘルスケア事業部門は独自のブランドを持つことにとなり、事業の大幅な強化に繋がります。そして今回の買収により、80社を超える子会社を配下に持つことになり、トータルでの配送ネットワークと網羅する市場はさらに拡大しました。
次年度はさらにこの方針を進めるのですか?つまりアジアの鍵を開いたら、今度は別の地域の企業を少しずつ買収して行くと?
弊社は明確な成長戦略に沿った事業展開を行っていきます。すなわち、まず既存市場であるアジアとヨーロッパに、そして消費財、ヘルスケア&医薬品、テクノロジー、生産資材という4つの事業分野に今後も注力し続けるということです。この領域で弊社はさらなる事業拡大を考えております。何よりも自分自身の力で成長することを最も重視しています。具体的には、ひとつの国から各地域内の隣接諸国へと広がっている各事業部門のパートナーシップの成功と、システマティックでプロアクティブなビジネスの発展を指します。昨年弊社はアジア地域全体に対して非常に積極的な投資を行い、最新のITインフラを今後の発展の基礎とすることにしました。企業として独自の成長を推進すると同時に、企業基盤強化のための買収も戦略的成長の手段として積極的に行っており、2002年の合併以降われわれは24の企業を買収し、現在のDKSHという組織ができあがっているのです。
シュミッドハイニ(Schmidheiny)アノヴァ (Anova)と並んで、フランスのプジョーグループ傘下のFFPや、ヘッジファンドの先駆者的な存在であるライナー・マクフレイ(Rainer-Marc Frey)もDKSHにとっては重要なパートナーです。自己資本率を強化するという一方で、このような著名な投資家からの投資額が1億7千万スイスフランにまで達しているのは何を意味するのでしょう?
金融危機から脱して新たな成長と拡張への視点が開けてきた今が、新しい投資家の皆さんに株主構成と連結資本の増加を発表する好機だと思います。今回の買収で弊社にはさらなる資本と新たな株主3者が加わることになり、これで現在から将来にわたる弊社の拡張戦略の実行力がさらに増すことになりました。しかしこれは財務的な意味だけではなく、ノウハウ、経験、ネットワークの面からもさらなる強化が達成されたということであり、今後の成長に向けた戦略レベルでの意思決定の際には、各企業が自社の専門分野で得ている確固たる知見を提供することによって、私たちはより確実な判断ができるようになるでしょう。
昨年の世界貿易は12%という信じ難い縮小となり、多くの港湾が稼働時間を減らしていますが、DKSHは売上4%増を今まで通り達成しました。2010年にはおそらく再び2桁増を回復するのでしょうね?
それが目標です。今年は特に成果につながるスタートを切ることができましたし、今までを越える2桁増の決算となって現われることでしょう。
PER(株価収益率)が高くなくて、取引所外売買による値幅の売買スプレッドが極端に大きくなければ、DKSHは安心して買える銘柄になるでしょう。株式を店頭公開して欲しいという投資者の希望がかなうことは全くありえないのですか?
その件に関しては皆さんを失望させざるを得ません。現時点では株式を公開するだけの十分な理由がないのです。
御社が資金を必要としており、世界中で金利が上昇して迅速な資金再調達の機会が生まれたら、御社にとっては朗報ですね?
弊社の堅実な財務状況は、いかなる場合でもDKSHのさらなる成長を最優先に考えてのことです。それ以外はさまざまな資本市場での取引に備えた準備金と考えていますが、これは過去の実績が示している通りです。
DKSHはスイス国内の取引においても正確さと信頼性という意味で高い評価を得ています。ですから御社が2500万フランをITインフラ、特に資源管理システムに投資したことはごく当然のことでしょう。ERPシステムはグローバルな企業が市場を拡大するうえでどのような利点をもたらすか、具体的に教えていただけますか?
DKSHグループ全体でSAPの実装を行ったことにより、DKSHの業務プロセスすべてを世界的に統一し、標準化することができました。これでサプライヤーから顧客に至るまでの全バリューチェーンに対して、統一されたシステムと一貫性のある品質基準を、DKSHグループが事業活動を展開している世界中のすべての国や地域で提供できるようになったのです。今では弊社の業務パートナーは標準化されたかたちでの市場情報の提供を望むようになっており、特に消費者動向と顧客ニーズに関してそのような傾向が顕著に見られます。これらの情報は、弊社が利益率と効率を上げるうえで奏功しています。ただ、このような情報が効果的なのは、ITのインフラがしっかりとした計画のもとで用意されている場合だけです。2500万スイスフランの投資は弊社のITシステムにおいては毎年繰り返される投資額の範囲に納まっており、アジアで最大規模のSAP実装を常に更新していくためには必要不可欠なものなのです。
ヨルグ・W・ヴォレ氏について
ヨルグ・W・ヴォレはDKSHグループのCEO兼代表取締役社長で、2002年6月にディトヘルム・ケラーとシイベルヘグナーが合併して同社が設立されて以来、現職にある。それまで同氏は、2000年以降、シイベルヘグナーで現在と同じ経営者の立場にあった。1991年から1995年まで、ヨルグ・ヴォレは香港でシイベルヘグナーのマーケティングと営業担当のディレクターを務めており、1995年以降はシイベルヘグナーのグループ取締役としてチューリヒで勤務していた。ヨルグ・ヴォレはアジア市場を熟知しており、ツヴィッカウ大学から異文化間コミュニケーションで名誉教授の肩書きを贈られている。同氏はドイツ語圏に本部を置くアジア法人の組合であるオストアジアティッシェ・フェラインの幹部会員であり、またディトヘルム・ケラー・ホールディングのボードメンバーでもある。2006年から2009年まで、UBSのボードメンバーを務めた。ヨルグ・ヴォレは52歳、スイス国籍。機械工学博士号を持つ。
企業
DKSHはアジアに拠点を置く、マーケットエクスパンションサービス、つまり他の企業やブランドが新市場や既存市場でビジネスを拡大するのを支援するサービスのプロバイダーとして、リーダー的立場にある企業である。ヨーロッパや南北アメリカの20か国を含め、35か国にある560の拠点で事業を展開し、2万1,000人の従業員を擁するDKSHは、売上および従業員数でスイスの上位企業20社のひとつに含まれる。2009年の事業年度に総売上86億スイスフランを達成した。事業活動は、消費財、ヘルスケア、生産資材、テクノロジーの4つの事業部門から構成される。同社は調達、マーケティング、販売、流通、アフターサービスの各分野のサービスを多様に組み合わせた包括的なサービスの提供を行っているが、これは各地に定着したインフラを所有しているからこそ可能となっている。DKSHはスイス企業であり、本社はチューリッヒにある。
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